【「女郎蜘蛛桃花艶舞」編】
次郎吉たちが次に目指したのは、将軍・鷲尾氏が居城を構える国だった。
その道中の森で天然温泉を見つけた次郎吉一行は、少し休憩することに。
そこで次郎吉の目的が明かされる。
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目的だった将軍・鷲尾氏の城の城下町へとたどり着いた次郎吉一行。
妖染を所有していそうな武家・商人の情報を集めるため町を散策している最中、雪間はある少年と出会う。
武家の出身であるらしいその少年に、雪間は妖染について何か知っていることはないか訪ねると、少年にある取引を持ちかけられる。
それは、
「妖染がある場所について教える代わりに、商人に捕らわれているある女性を救い出すのを手伝ってほしい」
というものだった。
そして少年はこう続ける。
「ワシはなんとしても彼女を取り戻したい。惚れた女を手に入れたいと思うのは男として当然だろう?」
こうして次郎吉たち一行は天丸(てんまる)と名乗ったその少年とともに、
妖染を所有し、女性を監禁しているという商人の屋敷へと向かうのだった。
天丸は「ぬらりひょん燻黄檗」という姿を一時的に隠すことができる妖染を所有しており、その能力を使い何度か商人の屋敷に入り込むことには成功していた。
しかし、用心棒を何人も雇っている商人のもとから1人で彼女を連れ出すのは至難の技だった。
そこで、次郎吉たちの力を借りたいという。
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その日の夜、早速次郎吉一行は天丸の案内で商人の屋敷に侵入する。
屋敷の奥にある座敷牢に、その女性はいた。
花櫛(はなくし)という名の彼女に、天丸は彼女を連れ出しに来たことを伝えるが、彼女は首を縦に振らなかった。
「私には、外に出ても居場所がないのよ」
花櫛に商人の手から離れる意思がない以上はどうしようもない。
その日はやむを得ず、一行はそのまま屋敷を後にした。
「もう少しだけ待ってほしい。
今日もう一度、彼女のもとに行くのを手伝ってくれ」
と懇願する天丸を放っておくこともできず、次郎吉たちは天丸と共に、町でかつて花櫛が身を寄せていたという旅の女芸人一座について調べることにした。
花櫛は、旅芸人としてこの町に立ち寄った際、商人に見初められたそうだ。
当初は断っていたが、最終的に商人のもとへ行ったのは、おそらく一座の仲間たちを人質にとられたのではないかと天丸は言っていた。
そして、町で噂話を聞いているうちに、次郎吉たちは驚愕の事実にたどり着いた。 かつて町を訪れた女芸人一座は、人斬りの被害に遭っていた。
ちょうど、花櫛が商人のもとへ行った頃だった。
商人の手により、一座は、皆殺しにされていた。
そして天丸は、もう一度商人の屋敷に向かう決意をした。
次郎吉たちの力を借りて、天丸は再び彼女に会いに行った。